障害児Kとおたく母の疾走日記

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help リーダーに追加 RSS 隣の芝生

<<   作成日時 : 2008/10/08 13:39   >>

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 「K君はいいわね、あちこち飛びまわらなくて。」 

 昔からよく言われる。確かに、Kは多動傾向はほとんど見られなかった。

 親の手を払って走り出すとか、勝手に家から外へ出てしまうとか、買い物中に商品に手を出すとか・・・子の多動に悩むお母さんから聞く行動を、Kはやらなかった。

 羨ましい、楽でいいわね、という声を聞きつつ、その頃の私にはそう思えなかった。なんて贅沢な、と言われても仕方ない。

 だってKは、勝手に動かないかわりに動いてほしいところでも動かなかった

 遊園地で乗り物に乗せても、動物園で珍しい動物を見せても、かわいいおもちゃを買ってやっても、反応らしいものを返してくれない。指差しも人まねもせず、表情もあまりない。
 そうかと思えば突然泣き出したり、長時間ぐずり続けたり。

 人まねも指差しもしない。どんな働きかけにも反応が薄く、何に興味があるのか、どんなことに反応してくれるのか、どうすれば自分から積極的に動いてくれるのか。全くわからない。

 Kは最初の内は自閉傾向のある重度知的障害とみられていたが、成長するにつれて自閉度は低くなっていったように思う。はっきり自閉症、というより重度の知的障害の部分が大きい。かなり。

 抵抗もしないが反応もない。何かを教えるとか一緒に遊ぶとかしようとしてもどこからどうしていいのかわからない、という日々が私の「障害児母スタート地点」だった。

 多動の激しい子のお母さんの大変さももちろんわかるから口には出さなかったけれど、当時の私は

 「何かに興味を持ってそこへ走っていってくれる子が羨ましい」

と、本気で思っていました。他動で苦労している親御さん、本当に申し訳ありません。もう、心の底からごめんなさい、です。はい、充分反省してます。

 今になって時々「実は・・」とそういう話を親同士ですることがある。みんなそれぞれ、

 「あら、○○ちゃんはそれでも××ができるからいいじゃない、うらやましかったのよ」
 「とんでもない、△△ちゃんこそお利口で・・うちの子なんか・・」


 結局みんな、ないものねだり、隣の芝生、だよね、という結論になる。でも、別の機会にまた同じ話になる。

 みんなそれぞれ大変なんだ、自分も明日からまた頑張ろう、という確認作業のようでもある。
 自分より苦労している人を見て安心するなんてどうよ、と思われるかもしれない。
 でも、苦労の大きさ、大変さに注目しているのではない。別次元の苦労とその対策を聞くたびに、いつも新鮮な驚きがあるのだ。

 知的障害、とひと言で言ってはいるがまさに十人十色、その多様性が、当事者の親同士でもかなり興味深いし時には別の立場からいいアドバイスをもらえたりする。

 自分の子はつい「できないこと、悪いところ」ばかりが目に付いて悩みがち。でも、違うタイプの子のお母さんが「できること、いいところ」を見つけて教えてくれた時にはっとしたりする。

 どっちが重い、軽いなんて簡単に判定できない特別支援学校PTAです。  

 さて、多動の悩みこそないけれど。
 
 その場に留まっていてはくれる、でもそこでジャンプしたり高笑いしたり泣き出したり座り込んだりして注目を集める・・というのも、それはそれで結構な悩み、だったりします。 

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コメント(10件)

内 容 ニックネーム/日時
 ほんとうにそうです。
ウチは肢体不自由児で、療育園に行くと
「何で来るの?どこが悪いの?」
と聞かれるおばあさんがいて、凄く嫌でした。悪いから来ているの、歩けないの、と子供の前で言わないといけないのが嫌でした。
感じ悪いお母さんだったと思います。
 みんな悩みがあるんですよね…しんどいけど、頑張っているのは自分だけじゃない、と思えたのは療育園生活最後のほうでした。
今、小学校に通うと、圧倒的に少数派で、頑張ってる仲間が少なくって寂しいです。
普通の子供のお母さんが楽してるように見えて仕方がない…でも、普通の子供もそれなりに悩みがあるのは百も承知ですが。
はるな
2008/10/09 10:54
はじめまして。16歳の自閉症児の母です。うちも正に動かない子反応の薄い子でした。
 ひとつ、余計な御世話と思いつつ言わせてください。自閉症故に、見え方感じ方理解の仕方が違うので、実は知的に重度ではないのに、特性ゆえにいろんな事が学習出来てない場合もあります。今一度、お子さんの状態を自閉症の専門家とご相談なさると、また違った成長も見えてくる場合があります。いきなり不躾なコメントでごめんなさい。
おから
2008/10/09 11:17
ああ〜〜!!わかりますわかります!そういうのってありますよねえ〜〜!!
私も特殊学級のママたちとそんな話をするときがありますよ〜、みんなは「トキ助くんは話ができていいねえ〜〜」って言うけれど、私にとっては、手先が器用で着替えも丁寧にたためる言葉の少ないお子さんがうらやましいときがしょっちゅうです。
そうそう、ないものねだり、なんですよね〜、いつも同じ話になる・・・っていうのも同じです。軽い重たいの違いはあっても悩みはそれに比例しない、なんかすっごい共感しちゃいました。
ちえのすけ
2008/10/09 12:25
はるな様
子供がまだ幼くて自分は世の中のトップクラスの不幸者だと思っていた頃、健常児や言葉を喋れる障害児も羨ましくて仕方ありませんでした。自分が理解できる苦労しか見えなかったのかもしれません。うちの子はすでにひと目でそれとわかる子なのでどこが悪いとか聞かれたことはないのですが、私の方が「軽い子はいいな」くらいのことは言っていたかもしれない。本当に反省しています。現実の生活やネットの世界でたくさんの頑張っている親御さんに会えたおかげで、目からウロコが何枚も落ちました。障害児の親という共通点だけで分かり合えるわけではない、というのも盲点ですよね。
tomoko
2008/10/09 20:24
おから様
 以前、そういうこともあると聞いたことがありました。療育の先生やお医者様からは、そういうタイプではないと言われてちょっとがっかりしたのを憶えています。(可能性があるかな、と期待しちゃったので)でも、いろいろな方向から可能性を探っていきたいです。ありがとうございました。
tomoko
2008/10/09 20:39
ちえのすけ様
 本当に、いつも同じ話になるんですよ、笑っちゃうくらい。何ができるから、できないからというのは大変かどうかに直結しないんですよね。いろいろな親御さんと話すたびに驚くことがあって、障害の重さってなんだろう、と考えさせられます。
tomoko
2008/10/09 20:45
本当にそうですねぇ。「障害の重さ」と「生きていきやすさ」は別物だし・・・。
娘は多動で、街中では彼女の両手から手と目を離せませんが、実は大騒ぎした時にひゅーんとその場を去るのも楽でーす。その時々で、大変な部分がありがたい?部分になる?。長所と短所は裏表?
見方を変えると違う姿が見えてきて、そんな事を気づかせてくれる人々は本当にありがたいです。
ところん
2008/10/10 11:15
そうなのよ、隣の芝生は青いのよね。健常児の親でさえも同じ、皆同じにいろいろ悩んでいるのよね〜。だけど、やっぱり自分の子の激しい多動には閉口しています。ついついジッとしているお子さんのお母さんをうらやましく思う未熟者です。でもやっぱり自分の子の良い所を見つけて…今日もまたその思いを思い出して頑張ります。その繰り返しだなぁ。
キョン
2008/10/10 11:29
ところん様
 長所と短所は裏表、まさにそのとおりだと思います。何ができるかできないか、っていうのが社会性のすべてではないな、と気付かせてくれた人々に感謝したいですね。おかげで隣の芝生も心穏やかに眺められるようになりました。(笑)
tomoko
2008/10/10 12:23
キョン様
 私も子供にがっかりしたり見直したり、いまだにそれを毎日繰り返しています。でも、がっかりしてから立ち直るまでのサイクルが少し短くなったかな。がっかりすることがあっても、きっとまた喜ばせてくれることもある、と信じて、ハラハラしながら生活しています。退屈できない人生、ですね。
tomoko
2008/10/10 12:27

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